第二回 スペシャルインタビュー 後編
永田暁彦さん 後編をお届けいたします。
- 森永田さんは今まで数回、京都の家元本部を花展見学などで訪れていると思いますが、六角堂や家元ビルの印象はいかがでしたか。
ご家族ともお出でになっていらっしゃいますよね。 - 永田 ビルが立ち並ぶ中でふっと現れる六角堂の雰囲気は、華道を学ぶものとして特別なものを感じます。
池坊を学ぶことは歴史を学ぶことでもあり、かつての華道人が精進を重ねた場所に立てることは池坊の魅力の一つだと思います。
平成29年5月 池坊展
(日本橋三越本店) 出瓶作品 生花株分
経済界の華道人コーナー- 森私からみても京都は、最も古い部分と新しい部分が混在しているとても魅力的な都市です。
伝統をいまに活かすというのはなかなか難しい部分もあると思いますが、華道の世界は敷居が高そうと言われてても実際家元を訪れると印象が変わります。以前、新聞で池坊華道会は日本で二番目に古い会社組織ともいわれ ました。永田さんから見ると池坊人の集合体ってどのように見えるのでしょうか。 - 森そうですか。敬意や愛情、それは池坊の根本理念である和の精神に繋がりますね。大切にしていきたいものです。
そういえば、永田さんの小さい頃の夢は何だったのでしょうか。今とは違っているのか、同じ感じか、気になります。 - 永田幼い頃の夢は科学者や宇宙飛行士になりたいとを言っていたそうです。
現在も技術投資をするファンドの代表や、技術ベンチャーの経営者をしているので、近い領域で仕事をしていると思います。 - 森どちらも似合いそう、先端を拓く、というイメージは現在と同気がします。
海外でのお仕事も多いと思いますが、永田さんから見ると世界での日本人をどのように思われますか。何かご自身のことも含めて、感じることを聞かせてください。
- 森そうなると、これからの私たちは何を意識していったほうがよいと思いますか。
いけばなでもそれはできますか? - 永田前述の通り、文化ということに対する敬意や興味は引き続き存在していると考えており、 日本で最古の花に関する学び、教養をしっかりと学んでいる、ということは、多様な人材の中において存在感を示すための一つのキーコンテンツとして、または特徴ある人物としてのコミュニケーションをするツールとして、大きな意味を持つと考えています。
いけこみをする永田さん
連日超満員の花展会場- 森今回関東ブロックで行われる一年に一度の池坊展の「経済界の華道人」コーナーに出瓶されましたが、いかがでしたか。
- 永田教室の皆さんや家族など、ある種の同族の中における評価ではなく、一般的な視点に自分の作品を晒すということは、勇気のいることですし、励みにもなることでした。ましてや、自社の社名を出して出瓶することは企業の評判にも影響することですので。
しかし、だからこそあまり周りを気にしたり遠慮せずに自分の好きなことをやろうと臨みました。
- 森昨年の旧七夕会に続き、二度目となりますが、一度目と違うところはあったでしょうか。
- 永田何よりも嬉しかったのは、ある方が私の顔を見て「あなた京都の旧七夕会でも出してたわよね?」と声を掛けられたことです。半年前の京都での出瓶を覚えていただいている、これには改めて継続性の大切さを感じました。
今回はあの背の高い人いないわね、と思われるように継続できるよう努力したいと思っています。
御巡視が終わりホッと
花席での永田さんと森- 永田華道、特に池坊というものをどの角度からどのように見るか、そしてどのように理解し受け入れるかは人それぞれであると思います。
私は現在の立場から見える池坊の姿、未来、意義というものを自らの価値観で持っているつもりです。池坊に対する自分なりの翻訳をつうじて、同じように経済界で活躍する仲間やまだ見ぬ方々が新たな魅力を感じてくれる機会が増えれば嬉しいなと考えています。
経営者にとって、華道は間違いなく意味のある稽古事であると確信しているからです。 - 森確信、と仰ってくださり、心から有難く思います。
このインタビューを通し、永田さんが如何に真摯に華道をとらえ、歩んでくださっているかがよくわかりました。その姿勢は信用となり、仕事へと還元されて行くでしょう。
そして、池坊の中にも永田さんファンが増えていくでしょう。 これからが楽しみです。益々のご躍進を願っています。
本当に有難うございました。 - 第1回、2回と貴重なお話を伺えました。
お稽古では見えないお人柄や哲学を拝聴致しますと、今後登場してくださる方にも期待が高まります。
皆様、第3回もお楽しみにお待ちください! - 第2回 永田氏インタビュー前編 はこちら